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第一章 挙式予定のハワイまできて式目前で彼と別れました 4

Penulis: 霧内杳
last update Terakhir Diperbarui: 2025-10-31 14:15:49

「その。

……あなたの、お名前は?」

「僕の、名前?」

不思議そうに彼が、眼鏡の下でぱちぱちと何度かまばたきをする。

「そうだった、まだ名乗ってなかったな」

くすくすとおかしそうに笑いながら彼は手を差し出してきた。

「僕は和家わけ

和家悠将ゆうすけだ。

よろしく、初見はつみ李依さん」

「短い間ですが、よろしくお願いします」

その手を笑って握り返した。

名前を聞いたところで、頼んだ料理が出てくる。

「食べようか」

「そうですね」

促されてナイフとフォークを取った。

ベリーがたっぷりのったパンケーキは美味しそうだ。

「和家さんはお仕事でいらしてるんですか?」

「仕事と言えば仕事だな」

悪戯っぽく彼は言うが、それで信じろだなんて難しい。

「こちらにはいつまで滞在予定なんですか?」

「特に決めてない」

「お仕事はなにをしてらっしゃるんですか?」

「んー、内緒」

とか言われて安心できるわけがない。

「あのー、……カタギの方、……ですよね?」

仕事は謎、それでいてきっとかなりのお金持ち。

まともな職業な人間だとは思えない。

「誓って、やましい仕事はしていない。

人よりちょーっと、稼いでいるだけだ」

なんでもない顔をして和家さんは言うが、……ちょーっと、ね。

ちょっとでリムジンを乗り回し、私を高級ホテルのスイートに連泊させられるとは思えない。

「わかりました、これ以上聞きません」

これ以上、詮索するのはやめよう。

この人を頼って、一時の夢をみる。

それでいい。

「うん、そうしてくれると嬉しい」

これでこの話はおしまい。

あとは美味しいパンケーキを堪能した。

朝食のあとはショッピングセンターへ連れていかれた。

「あのー」

「李依の服を買うって言っただろ?」

私の手を引き、和家さんは歩いていく。

適当な店で足を止めて、中へと連れ込まれた。

「そんな、服なんて買ってもらえません」

「まだ遠慮するんだ?」

服を選んでいた手を止め、彼が振り返る。

「李依は本当に可愛いな!」

「えっ、あっ!」

いきなり抱き締められて、どぎまぎしてしまう。

「よし、この店買い占めるか」

和家さんはご機嫌だが、私はなんかまた彼のスイッチを押してしまったのかな?

「さすがに店買い占めは……」

「そうか?」

彼は怪訝そうだが、もしかしていつもそういう買い方をしているんだろうか……?

店買い物は押し留め、服を選ぶ。

「これとかどうですか……?」

私の好きな、シンプルなAラインワンピースを身体に合わせてみせる。

「とりあえず試着してみろ」

「そうですね」

店員に断り、それを着て和家さんの前に出る。

「どう、ですか……?」

「んー」

しかし彼の表情は思わしくない。

それはそうだろう、自分でもいまいちだなと思っていた。

「これ。

足してみろ」

「あ、……はい」

少し考えた彼から渡されたベルトをウェストに巻く。

「うん、よくなった」

満足げに彼が頷き、あらためて鏡を見た。

確かに、さっきまでよりもメリハリが出てずっといい。

「ああいうのは悪くないんだが、李依は身体のラインが綺麗だから、出るようにしたほうがいい。

このベルト一本でこんなに違う」

私の肩に手を置き、鏡越しに和家さんが見つめている。

……綺麗なんかじゃありません」

体型はずっとコンプレックスだった。

胸ばかり大きくて、あとは貧相。

だからいつも、大きめの服で隠していた。

「綺麗だよ。

僕は嘘をつかない」

その手が私の顔にかかり、横を向かせる。

彼の顔が近づいてきて……。

……キスはダメです」

「それは残念」

私の手に阻まれたのに、彼はふざけるように言って素直に離れた。

何軒かの店をはしごし、彼はかなりの枚数の服と、それに合わせた靴やバッグを買ってくれた。

……こんなに買っていただいても、持って帰れないんですが」

アイスコーヒーのストローを咥える私の傍らには、いくつも紙袋が置かれている。

「スーツケースに入らないのなら、送ればいい」

同じくアイスコーヒーのストローを咥え手和家さんはさらっと言ってくるが、日本国内の宅配便じゃないのだ、そんなに簡単にはいかない。

「心配しなくていい、僕が手配してやるから」

私の視線に気づいたのか、これで解決だと彼が頷く。

それになにを言ってももう無駄だって学習したので、私もなにも言わなかった。

これでもう終わりだろうと思ったのに和家さんはまだ買い足りないらしく、運転手に荷物を取りに来させてさらに私を引っ張り回す。

アクセサリーショップで、和家さんはまたいろいろ見ている。

「その指環」

「え?」

彼の視線が、私の左手薬指に嵌まるそれを指す。

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